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2015年度支援課題の公募要項


 新学術領域研究「ゲノム支援」は、次世代型のゲノム解析システムを開発・整備し、これを活用したゲノム情報の取得や情報学的解析により様々な生命科学研究を支援します。この過程でゲノム解析システムをさらに向上させるとともに、我国におけるゲノム科学のすそ野拡大とピーク作りの両方を進めることをミッションとしています。この支援にふさわしい課題を公募します。

1. 支援の対象となる研究課題

 今回の支援課題の公募は、2015年度文部科学省・科学研究費補助金(新規・継続)に採択されている研究課題を対象とします。支援課題選定にあたっては、当初計画と密接に関連したものであって、本ゲノム支援活動により、当初の計画を上回る重要な研究成果を得ることが期待でき、その結果、我国のゲノム科学自体の発展を促すことにもつながるような支援申請を優先します。したがって、支援の申請内容が科研費の研究当初計画に含まれていることは必要ありませんが、密接に関連することは必須です。なお、単純なアウトソーシングで対処可能なものは、支援の優先順位は低いと考えます。

2. 支援対象課題の選定

 支援課題の選定は、「ゲノム支援」領域外の有識者と班員から構成される支援審査委員会で行います。審査では、申請支援内容が、単なる解析作業のアウトソーシングではなく、研究的要素を多く含むゲノム領域の学術研究として相応しいか、必要経費も含め支援が実行可能かどうか、人材/分野育成の要素が含まれるか等の項目を検討します。なお、今年度はゲノム医科学支援のゲノムワイド関連解析(GWAS)に関しては新規課題の募集は行いません。また、サンガー法による配列決定およびライブラリ作製単独の支援は今年度も対象外と致しますが、協議の課程において全ゲノム解析に必要であると判断された場合は支援対象と致します。ゲノム医学支援については、倫理面も含めて検討します。支援の対象に選ばれた課題については、申請者に通知するとともに、「ゲノム支援」のホームページから公開します。支援課題の選定の過程で知り得た情報は選定目的のみに使用します。審査委員の氏名は、翌年度に公表します。なお、支援活動は、支援依頼者と支援担当研究者の共同作業として進めたいと思いますので、具体的な支援内容は、担当者との協議により決定させていただきます。

3. 支援によりえられた研究リソースとデータの公開、共有

 研究の結果得られるデータ量が大規模化してくると、個々の研究者が解析するだけでなく、研究コミュニティ全体で共有することにより有効活用が図れます。したがって「ゲノム支援」では、一定期間経過後にデータベースやリソースバンク等を通した研究成果の共有化を図りたいと考えます。

  • 支援活動により得られた解析結果は、論文・データベースなど適切な方法で公表してください。塩基配列データについては、適切なデータベースに登録・公開することとします。またライブラリなどの研究リソースは、論文発表後、研究コミュニティへの配布体制の整備、レポジトリへの登録等により、公開することとします。
  • 論文発表に際しては、支援担当者の関与の度合いにより、共著者とする場合や謝辞で触れる場合等が考えられますが、適切な対応をお願い致します。また、「ゲノム支援」の支援を受けている事を記載して下さい。「ゲノム支援」の英語表記は、MEXT KAKENHI (No. 221S0002) です。
  • 個人ゲノム情報を含まない塩基配列データは、支援依頼者に提供すると同時に、DDBJ(DNA Databank of Japan、http://www.ddbj.nig.ac.jp/)あるいはDDBJが運用するDRA(DDBJ Read Archive; http://trace.ddbj.nig.ac.jp/dra/index.shtml)(新型シークエンサーのデータ)に仮登録します。そして、論文発表後は直ちに、未発表の場合は事前に協議した時期(支援終了後原則として1年以内)に公開することとします。
  • 個人ゲノム情報についても、その質に応じた適切な個人情報の保護の仕組みの下で、研究コミュニティでの共有を図ります。その詳細については、ゲノム医科学推進支援活動の要領をご覧下さい。
  • より高度な情報解析システムの開発研究のため、支援依頼者と相談の上で適切な手続きをとり、解析結果の活用をお願いすることがあります。詳しくは、情報解析支援活動の要領をご覧下さい。

4. 支援申請にあたって留意していただきたい点

  • 「ゲノム支援」の活動は2015年度が最終年度ですので、支援依頼内容は単年度で実施可能なものとなるように注意してください。7月の採択決定後、12月までに検体を提供して下さい。これを過ぎると、支援が出来ないことがあります。ヒト遺伝子解析研究など倫理委員会等における承認手続きが必要な場合は、10月末までに承認を得て下さい。承認取得後は速やかに検体を提供して下さい。また、なるべく多くの課題の支援を可能にするために、不必要に過大な内容の申請は避けてください。
  • 支援活動は、支援依頼者と支援担当研究者の共同作業とお考えください。したがって、送付された試料が量的、質的に解析に不向きな場合には、中止、再調製等について支援担当グループと協議していただきます。また、支援活動により得られた研究成果について、支援担当者への迅速なフィードバックをお願いします。それは、支援活動の質の向上にも重要です。そして、一層の研究の展開を図るための追加の解析の依頼についても、支援担当者とご相談ください。
  • 大型ゲノムの新規配列決定など、支援をする側にとってもチャレンジングな課題についても挑戦したいと考えています。しかしながら、大型ゲノムの新規配列決定においては、新型シーケンサーにおけるロングインサートのメイトペアシーケンスなど、新たなシーケンス技術開発が必要となっています。また、対象とする生物における、ヘテロ接合性の頻度、リピート配列の割合やゲノムのGC含量の偏りなどにより、de novo アッセンブルが困難となり、高精度のドラフトシーケンスが得られない事が予想されます。したがって、大型ゲノムの新規配列決定に際しては、対象生物におけるゲノムの複雑性の評価、系統の適切な選択など、申請者ならびに研究者コミュニティによるサポートが必須となります。さらに、ドラフトシーケンス完成後の遺伝子アノテーションなどにおいても、研究者コミュニティによるサポートが必須となります。大型ゲノムの新規配列決定を含む課題を申請される場合は、この点を十分にご留意いただきたいと思います。大型ゲノムの新規配列決定は基本的に支援担当者との「共同研究」として進めたいと考えます。また、このような課題の数は限られるものとなることをご了解ください。
  • 「ゲノム支援」活動に配分された研究費には限りがあり、希望のすべてに応えることはできません。少しでも多くの課題を支援するために、依頼者に消耗品などの一部負担をお願いすることがあります。
  • 支援に当たっては最善の努力を払いますが、不慮の事故も含め、成功を保証するものではありません。また、当初に期待したとおりのデータが得られない場合があることをご了解下さい。支援グループから提供するデータや研究用リソースの内容について、必ず支援依頼者側で最終的な確認をして下さるようお願いいたします。

5. 募集期間

 2015年度の募集期間: 2015年4月1日(水)から4月24日(金)正午

6. 支援の開始時期

 公募締め切り後、審査委員会による順位決定と支援実施担当者との支援内容の協議を経て、7月中旬頃までに支援範囲を最終決定する予定です。これ以降、支援実施担当者と打ち合わせに基づき支援を開始します。