ゲノムひろば2006 in 京都

主催:文部科学省科学研究費 特定領域研究ゲノム4領域

後援:京都府、京都市、京都府教育委員会、京都市教育委員会

ゲノムセミナー

11月18日(土)13:30〜15:30
百周年時計台記念館1F・百周年記念ホール

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講師・タイトル・プロフィール

研究報告:「体内の時計を理解する」

上田 泰己
(理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター チームリーダー)

略歴

2000年東大医卒。2004年東大院医修了。学部・院生時に東大分生研、ソニーCSL、JST ERATO、山之内製薬にて研究に従事。2003年より理研CDBチームリーダー。2004年より理研CDB機能ゲノミクスSU・リーダー(兼務)。 2005年より東北大学・徳島大学など客員教授(兼務)。2006年より連携大学院 阪大教授(兼務)。

要旨

腕時計を分解してみると正確に時を刻むのが如何に複雑な過程かが分かる。動力源によって発生した力が、調速部品によって一定速度の動きへと変換され、いくつもの歯車を経て最終的に秒針、分針、時針の動きとなって表示される。体内の時計も同様に複雑で、遺伝子が形成する複雑なネットワークによって発振し、様々な生理現象のリズムを調節している。シンポジウムでは、体内時計の部品を探し出し、各部品の特徴を測り、全体の振る舞いを制御しながら、時には一から組み立てることによって理解を試みている様子を紹介する。

上田
研究報告:「カイコゲノムから読みとる昆虫の進化」

嶋田 透
(東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授)

略歴

1987年東大大学院博士課程修了。国立予防衛生研究所、東大助手、同助教授を経て、2005年より東大大学院農学生命科学研究科教授。比較ゲノムの手法を用いて昆虫に特異的に存在する遺伝子の起源と進化を研究している。

要旨

カイコは5000年前に人類が家畜化した昆虫であり、それがつくる生糸は日本の近代化を支えてきた。2004年に日本と中国がカイコゲノムの塩基配列をショットガン法によって決定し、約2万個の遺伝子の存在が推定できるようになった。そこには、カイコ特異的な遺伝子が多く含まれている。カイコには絹糸生産や桑への単食性など特殊な生物機能が多く存在し、また細胞自律的な雌雄決定や休眠性など、昆虫固有の形質も共有している。カイコのゲノムから、昆虫とカイコの進化に関して何が見えるか、紹介したい。

嶋田
研究報告:「ゲノムで薬を創る」

辻本 豪三
(京都大学 大学院薬学研究科 ゲノム創薬科学分野 教授)

略歴

救急急医療を目指した医師でしたが、未来の患者さんを治療する”創薬”に憧れて研究に入りました。いろいろな学問分野がありますが、患者さんは診断名ではなく治療を求めて医療に来られるので、そのリクエストに最大限答えれる”薬”創りを目指しています。最先端科学を創薬へ、それが”ゲノム創薬”のミッションです。

要旨

人類の脅威として多くの病気が有り、日夜医療に携わる人達が病気と戦っています。その戦いにおいて人類が持つ最大の武器が薬です。近年の最先端創薬は、先端的な科学と技術の融合の上に成り立つ科学にまでなりました。2003年に完了したヒトゲノム計画により、ヒトのDNAの全塩基配列が完全に解読され、ゲノム情報を医療、創薬に活用した試みが活発にされるようになってきました。「テーラーメイド医療」「ゲノム創薬」です。講演ではゲノム解読がもたらす医療、中でも創薬への影響を我々の研究を例として具体的にご説明したいと思います。

辻本
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