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[先進ゲノム支援成果公開]ショウジョウバエが持つユニークな性染色体を用いて性染色体進化に関する共通のメカニズムを発見

東京都立大学大学院理学研究科生命科学専攻の野澤昌文准教授、田村浩一郎教授らは、情報・システム研究機構国立遺伝学研究所の豊田敦特任教授らの協力のもと、ネオ性染色体というユニークな性染色体を独立に獲得したショウジョウバエ3種を用いて、誕生した直後の性染色体がどのように進化するのかを研究しました。すると、誕生して間もないにもかかわらず、3 種のネオY染色体はすでに退化しつつある状況にあることが分かりました。また、ネオY染色体上の遺伝子が機能しなくなると、ネオX染色体上の相同な機能遺伝子の発現量が上昇して、これを補っている傾向が見られました。さらに、このうち2種は同じ常染色体に由来するネオY染色体を持ちますが、同じ遺伝子が有意に多く機能を失っている傾向にあることが分かりました。この研究成果は2021年10月22日、米国の科学誌「Genome Research」に掲載されました。

プレスリリース:(https://www.nig.ac.jp/nig/images/research_highlights/PR20211022_b.pdf

Nozawa M, Minakuchi Y, Satomura K, Kondo S, Toyoda A, Tamura K., Shared evolutionary trajectories of three independent neo-sex chromosomes in Drosophila, Genome Research (2021). DOI: 10.1101/gr.275503.121