2012年度ゲノム支援公開シンポジウム「次世代ゲノム科学の最前線」

2012年度ゲノム支援公開シンポジウム「次世代ゲノム科学の最前線」

 2013年2月19日(火)に、2012年度のゲノム支援公開シンポジウムを、京都大学医学部芝蘭会館稲盛ホールで開催しました。
開会に際して、文部科学省において学術調査官としてゲノム支援活動を担当されている真野昌二先生(基礎生物学研究所)より、ご挨拶を頂戴しました。

 最初に国立遺伝学研究所の藤山秋佐夫先生から、DNA配列解読技術の歴史を振り返りながら、生命科学研究への影響を紹介していただきました。今後の展望としては、DNA1分子の配列解読が可能な時代を迎えつつあることと、高速DNA解読装置が普及し大量の遺伝子情報が生産される時代を迎え、遺伝子情報解析技術がますます重要になって来るとのお話がありました。

 福岡大学の石井敦士先生からは、小児交互性片麻痺の原因遺伝子に関するお話がありました。この病気は、出生100万人に一人の発症と非常に稀な病気である上に決定的な診断法がない難しい病気ですが、ゲノム解読技術を駆使して原因遺伝子をつきとめた研究の様子がわかり易く紹介されました。原因遺伝子は神経伝達に関係する分子の遺伝子であり、他の神経系の疾患にも関係していることなどが紹介されました。原因遺伝子が解明できたことで、確定診断が可能となることと治療法の研究が進むことが期待できるとのお話がありました。

 東京工業大学の岡田典弘先生には、昨年に続いてシーラカンスのゲノム解析に関するお話をしていただきました。若き日に読んだシーラカンス発見にまつわる書物の紹介やタンザニア水産学研究所との共同研究からシーラカンス研究が始まったことなど、先生のシーラカンス研究の歴史にまつわるお話から、魚類型と陸上生物型の両方の遺伝子型を持つなど進化生物学に関する知見まで幅広いお話をしていただきました。

 北海道大学の澤辺智雄先生からは、海洋ビブリオ菌を用いたバイオマス燃料生産研究にゲノム解析を応用した研究の紹介がありました。地球温暖化対策や有限の化石燃料代替として注目を集めているバイオマス燃料ですが、従来のバイオマス原料では食糧用途との対立や干ばつの影響等の課題がありますが、昆布等の海洋バイオマスを利用できればそのような問題も解決できる可能性があるとのことでした。そこで昆布を食べる動物の消化管から海洋バイオマスに多く含まれるアルギン酸やマンニトールからエタノールや水素を生成できる微生物を単離し、ゲノム解析結果を活用して効率的なバイオ燃料生産システムを作る研究の紹介がありました。

 最後に、ゲノム支援代表の小原雄治(国立遺伝学研究所)より閉会の挨拶を申し上げ終了しました。

 今回は京都大学のキャンパス内での開催ということもあり、若い方からも熱心な質問があるなど、活気に満ちたシンポジウムとなりました。