[先進ゲノム支援成果公開]紙一重で菌は植物の敵にも味方にもなる~糸状菌の共生と寄生、対照的な戦略を分かつ分子機構の発見~

東京大学 大学院総合文化研究科の晝間 敬 准教授と、同 大学院新領域創成科学研究科の岩崎 渉 教授、同 大学院農学生命研究科の田野井 慶太朗 教授、大森 良弘 准教授、北海道大学 大学院理学研究院の南 篤志 准教授、理化学研究所 環境資源科学研究センターの岡本 昌憲 チームリーダー、薬用植物資源研究センターの佐藤 豊三 客員研究員、奈良先端科学技術大学院大学の西條 雄介 教授らによる研究グループは、植物に定着する内生糸状菌(カビ)が持つ1つの菌二次代謝物生合成遺伝子クラスターが共生から寄生への多彩かつ連続的な菌の感染戦略を支えていることを明らかにしました。
今後、本遺伝子クラスターの制御機構をさらに突き詰め、クラスターの活性化を制御する技術を開発することで、寄生菌の悪い行動だけを抑えつつ、共生菌の効用を最適化する技術の開発にもつながっていくことが期待されます。
本研究成果は、2023年9月6日(英国夏時間)に英国科学誌「Nature Communications」に掲載されました。

プレスリリース:
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20230906/index.html

Hiruma, K., Aoki, S., Takino, J. et al. A fungal sesquiterpene biosynthesis gene cluster critical for mutualist-pathogen transition in Colletotrichum tofieldiae. Nat Commun 14, 5288 (2023). doi: 10.1038/s41467-023-40867-w
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国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 (大阪府茨木市、理事長:中村祐輔) 創薬デザイン研究センター・細胞核輸送ダイナミクスプロジェクト・岡正啓プロジェクトリーダーらの研究グループは、急性白血病細胞で見られるヌクレオポリン融合遺伝子産物が形成する核内の相分離構造体の新しい機能を明らかにしました。本研究は今後さらなる白血病メカニズムの解明や創薬へ繋がる成果であると期待されます。なお、本研究は、九州大学生体防御医学研究所・大川恭行教授グループ、東京大学定量生命科学研究所・中戸隆一郎准教授グループなどと共同で行われました。
本研究成果は2023年7月29日に『Cell Reports』に発表されました。

プレスリリース:
https://www.nibiohn.go.jp/information/nibio/files/1013f78a174323b04a174eaf799ee85d058a0eea.pdf

Masahiro Oka, Mayumi Otani, Yoichi Miyamoto, Rieko Oshima, Jun Adachi, Takeshi Tomonaga, Munehiro Asally, Yuya Nagaoka, Kaori Tanaka, Atsushi Toyoda, Kazuki Ichikawa, Shinichi Morishita, Kyoichi Isono, Haruhiko Koseki, Ryuichiro Nakato, Yasuyuki Ohkawa, Yoshihiro Yoneda. Phase-separated nuclear bodies of nucleoporin fusions promote condensation of MLL1/CRM1 and rearrangement of 3D genome structure. Cell Reports 42, 112884(2023). doi:10.1016/j.celrep.2023.112884
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東京大学大学院農学生命科学研究科獣医解剖学研究室の金井克晃教授率いる研究チームは、AMH-treck トランスジェニック(Tg)マウス系統を用いて、胎子精巣からセルトリ細胞をジフテリア毒素により実験的に除去することで、精巣上皮から顆粒層細胞を含む卵巣皮質が形成され、精巣間質では卵巣特有の内莢膜細胞が出現することを発見した。この精巣から卵巣への性転換は、セルトリ細胞から分泌されるパラクライン因子の供給停止によるものである。今までは、未分化な性腺の雌雄共通の前駆細胞から、オス型のセルトリ細胞、メス型の顆粒層細胞(ステロイドホルモン産生細胞は、オス型のライディッヒ細胞とメス型の内莢膜細胞)が分化し、精巣・卵巣へと発達すると考えられていた。本成果により、オス・メスで別々の前駆細胞から精巣・卵巣が発達し、セルトリ細胞由来のFGF9がメスの卵巣前駆細胞の出現を抑制していることも新たに判明した。胎子期の精巣で卵巣前駆細胞が維持されている事実は、マウスだけでなく、ヒトや家畜の性分化異常症での卵巣前駆細胞の性的2型の破綻の一原因として考えられ、ほ乳類の生殖腺の機能障害の病因の深い理解に貢献する。
本成果は2023年7月17日にDevelopment誌に掲載されました。

プレスリリース: https://release.nikkei.co.jp/attach/658550/02_202307041438.pdf

Kenya Imaimatsu, Ryuji Hiramatsu, Ayako Tomita, Hirotsugu Itabashi, Yoshiakira Kanai. Partial male-to-female reprogramming of mouse fetal testis by sertoli cell ablation. Development (2023). doi:10.1242/dev.201660
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ヒトのゲノムは、主に「ユークロマチン」「ヘテロクロマチン」の2つの領域に分類できるとされています。これまで長い間、頻繁に遺伝情報の読み出しが行われるユークロマチンは「ほどけて」いる一方、遺伝情報の読み出しが抑えられているヘテロクロマチンは凝縮して「塊」を形成している、と考えられてきました。

今回、情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 ゲノムダイナミクス研究室の前島一博 教授、飯田史織 総研大生(学振特別研究員 DC2)、島添將誠 総研大生、田村佐知子 テクニカルスタッフ、井手聖 助教は、Trends in Cell Biology誌に、この定説を覆すOpinion Paperを発表しました。この論文では、最近報告された超解像クロマチンイメージング、クロマチンのアクセシビリティをDNA消化酵素に対する感受性でゲノムワイドに調べた解析、さらには、密度勾配遠心法を用いたヌクレオソーム密度のゲノムワイドな解析をもとに、高等真核細胞ではユークロマチンも直径100-300 nm程度の凝縮した「塊 (ドメイン)」を形成していること、凝縮したドメインがクロマチンの基本構造であることを提唱しています。さらに、凝縮したドメインが存在することによって実現する転写制御のモデルや、分裂期染色体でのドメインの役割についても議論しています。本論文は2023年6月27日にTrends in Cell Biology誌に掲載されました。

プレスリリース: https://www.eurekalert.org/news-releases/993484

Kazuhiro Maeshima, Shiori Iida, Masa A. Shimazoe, Sachiko Tamura, Satoru Ide. Is euchromatin really open in the cell?. Trends in Cell Biology (2023). doi: 10.1016/j.tcb.2023.05.007
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2023年はヒトゲノム解読完了から20周年という節目の年になります。
ゲノム医科学分野の急激な発展を受け、その最新成果と新技術がもたらす新たなる展開を展望することを目的とし、下記日程にて、14AGWが開催されることとなりました。

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第14回国際ゲノム会議 14AGW
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Complete human genome and beyond

日時:2023年10月4日(水) ~ 10月6日(金)
会場: 一橋講堂
特設サイトURL : https://www.14agw.jp/jp/index.html
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※10/6の13~15時は先進ゲノム支援の共催セッション「Emerging Technology Presentation」として、国外講師4名のトークを予定しています。

現在、参加早期登録およびポスター発表申込を受け付けています(8/31締切)。
どうぞ、ご参加をご検討いただけますようお願い致します。

先進ゲノム支援事務局

最終審査結果につきまして、8月10日までにメールにてお送りしております。
お手元に届いていない場合は、至急事務局までお問い合わせ下さい。
(迷惑メールボックス内もご確認頂けますようお願い致します。)

なお、共同研究者等申請者以外の方からのお問い合わせにはお答えできませんので、
必ず申請者ご本人からお問い合わせ頂けますようお願い致します。

先進ゲノム支援事務局

今期の支援技術コンサルテーションにつきまして、準備が整いましたのでご案内致します。

対象:2023年度支援公募にご応募いただいた課題ヒアリングを実施した課題は対象外
受付期間:2023年8月1日(火)~8月31日(木)17時まで
申込方法:ホームページ画面右カラムの「支援依頼者ログイン」よりお進み頂き、マイページ内の「申請一覧」コーナーより
お申込みください。対象の方には登録されたアドレスあてに別途メールでご連絡を差し上げておりますので、
詳細はそちらをご確認ください。

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2023年度申請課題についての技術面でのコンサルティングですので、今年度公募に申請頂いていない場合はコンサルティングを受けることはできません。悪しからずご了承ください。
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不採択理由など採否に関するご質問や、申請課題とかけ離れた内容でのご質問はコンサルティングの対応範囲外と致します。

なお、先進ゲノム支援の審査は外部委員からなる審査委員会によるもので、課題ごとの絶対評価に加え全応募課題のなかでの相対評価で行われます。今回のコンサルテーションの結果を踏まえても、次回の採択をお約束するものではありません。
予めご了承いただいた上でご相談頂けますようお願い致します。

先進ゲノム支援事務局

東海国立大学機構 岐阜大学応用生物科学部山根京子准教授および学部四年生山本祥平氏(研究当時)、東京工業大学生命理工学院伊藤武彦教授および田中裕之研究員、学部四年生堀立樹氏(研究当時)、情報・システム研究機構国立遺伝学研究所豊田敦特任教授、東京都立大学矢野健太郎教授の研究グループは、世界に先駆けてワサビのハプロタイプレベルでの高精度な全染色体参照ゲノム解読に成功しました。
今回明らかとなったゲノム配列は、遺伝や進化などの基礎研究、品種改良など農業分野、さらには在来や野生ワサビの保全のための情報整備など、多くの分野での活用が期待されます。
本研究成果は、日本時間2023年7月11日にNature姉妹誌Scientific Dataのオンライン版で発表されました。

プレスリリース: https://www.nig.ac.jp/nig/images/research_highlights/PR20230711.pdf

Hiroyuki Tanaka, Tatsuki Hori, Shohei Yamamoto, Atsushi Toyoda, Kentaro Yano, Kyoko Yamane, Takehiko Itoh, Haplotype-resolved, chromosomal-level assembly of wasabi (Eutrema japonicum) genome, Scientific Data (2023) DOI: 10.1038/s41597-023-02356-z
プレスリリース一覧

書面審査を通過した課題について、ヒアリングの日時を7月12日にメールにてご連絡しておりますので
出席票の返送をお願い致します。
お手元に届いていない場合は、至急事務局までお問い合わせ下さい。
(迷惑メールボックス内もご確認頂けますようお願い致します。)

なお、共同研究者等申請者以外の方からのお問い合わせにはお答えできませんので、
必ず申請者ご本人からお問い合わせ頂けますようお願い致します。

先進ゲノム支援事務局

書面審査の結果につきまして、6月29日までにメールにてお送りしております。
お手元に届いていない場合は、至急事務局までお問い合わせ下さい。
(迷惑メールボックス内もご確認頂けますようお願い致します。)

なお、共同研究者等 申請者以外の方からのお問い合わせにはお答えできませんので、必ず「申請者ご本人」からお問い合わせ頂けますようお願い致します。

先進ゲノム支援事務局

日本女子大学の山本荷葉子学術研究員(兼学振特別研究員)ら及び国立環境研究所の松﨑令高度技能専門員らは、国立遺伝学研究所、東京大学、コンケン大学、カラシーン大学の研究者との共同研究により、バイセクシュアル種への進化を探るためにタイ国産株のボルボックス・アフリカヌスの全ゲノム解析に取り組みました。
これまでボルボックスでは、雌雄が遺伝的に異なる雌雄異株種からバイセクシュアル種に進化するためには、メスの性染色体にオス特異的遺伝子が取り込まれることが必要と考えられており、性染色体は雌雄で異なっていて、各々メスまたはオスに特異的な遺伝子を保有するものと解釈されていました。しかし、タイ国産株のバイセクシュアル種では、メスの性染色体に相当する部分が全て欠落している一方で、オスの性染色体に相当する部分がほとんどそのまま残存していました。このことは、性染色体にはメスとオスを区別する以外の未解明の機能が存在することを示唆し、今後の研究が期待されます。
本研究成果は国際科学雑誌「iScience」に2023年6月16日に掲載されました。

プレスリリース: https://www.nies.go.jp/whatsnew/2023/20230622/20230622-2.html

Kayoko Yamamoto, Ryo Matsuzaki, Wuttipong Mahakham, Wirawan Heman, Hiroyuki Sekimoto, Masanobu Kawachi, Yohei Minakuchi, Atsushi Toyoda, Hisayoshi Nozaki. Expanded male sex-determining region conserved during the evolution of homothallism in the green alga Volvox. iScience (2023) 26, 106893 DOI:10.1016/j.isci.2023.106893
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大阪大学大学院理学研究科 中川拓郎准教授らの研究グループは、九州大学大学院医学研究院 林哲也教授、久留米大学医学部 小椋義俊教授、千葉大学真菌医学研究センター 高橋弘喜准教授との共同研究により、真核生物に広く存在するSrr1とアルギニンメチル化酵素Skb1が、染色体異常を誘発することを世界で初めて明らかにしました。
セントロメア領域での染色体異常は、がん細胞などで高頻度に観察されます。しかし、その詳細な分子メカニズムについては解明されていませんでした。今回、中川准教授らの研究グループは、分裂酵母に突然変異を導入し、染色体異常の発生頻度が減少した変異株を単離し、その株の変異部位を次世代シーケンスで特定することにより、Srr1とSkb1遺伝子がセントロメア領域での染色体異常を誘発することを明らかにしました。本研究成果より、染色体異常が原因で起きる遺伝性疾患やゲノム進化のメカニズム解明が進むことが期待されます。 
本研究成果は、英国科学誌「Communications Biology」に、2023年(金)5月26日18時(日本時間)に公開されました。

プレスリリース:
https://www.sci.osaka-u.ac.jp/ja/topics/12169/
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2023/20230526_1

Piyusha Mongia, Naoko Toyofuku, Ziyi Pan, Ran Xu, Yakumo Kinoshita, Keitaro Oki, Hiroki Takahashi, Yoshitoshi Ogura, Tetsuya Hayashi, Takuro Nakagawa. Fission yeast Srr1 and Skb1 promote isochromosome formation at the centromere. Communications Biology 6, (2023). doi:10.1038/s42003-023-04925-9
プレスリリース一覧

2023年度支援課題公募受付は終了しました。

情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 野崎慎 大学院生 (現 ハーバード大研究員)、井手聖助教、前島一博教授のグループ、東光一助教、黒川顕教授のグループは、理化学研究所 新海創也 上級研究員、大浪修一チームリーダーと共同で、生きた細胞内をナノメートルレベルで可視化できる超解像蛍光顕微鏡を用い、細胞の中での DNA の動きを観察・解析し、ユークロマチンの挙動を詳細に調べました。
その結果、ユークロマチンにおいても、DNA が不規則に凝縮した「塊」を形成し、そのなかで DNA が揺らいでいることを発見しました。このことは、ユークロマチンにおいては DNA がほどけている、という従来の定説を覆す発見で、不規則に凝縮した「塊」が、生きた細胞内におけるユークロマチンの基本構造であることがわかりました。また、ユークロマチンにおける DNA の塊は、放射線などによる DNA の損傷への耐性にも貢献すると考えられます。
本研究の結果によって、生命の設計図である DNA の遺伝情報がどのように維持され、どのように読み出されるのかについての理解が進むとともに、遺伝情報の保護、読み出し方の変化によって起きるさまざまな細胞の異常や関連疾患の理解につながることが期待されます。
本研究成果は、国際科学雑誌「Science Advances」に2023年4月6日(日本時間)に掲載されました。

プレスリリース: https://www.nig.ac.jp/nig/ja/2023/04/research-highlights_ja/pr20230406.html

Tadasu Nozaki*, Soya Shinkai*, Satoru Ide*, Koichi Higashi*, Sachiko Tamura, Masa A. Shimazoe, Masaki Nakagawa, Yutaka Suzuki, Yasushi Okada, Masaki Sasai, Shuichi Onami, Ken Kurokawa, Shiori Iida, Kazuhiro Maeshima *co-first authors
Condensed but liquid-like domain organization of active chromatin regions in living human cells
Science Advances (2023) 9, eadf1488 DOI:10.1126/sciadv.adf1488
プレスリリース一覧

先進ゲノム支援は、日本薬学会にて生命科学連携推進協議会共催のランチョンセミナーに登壇致します。
支援内容や支援申請方法などに関してご案内させて頂きます。

日本薬学会第143年会(札幌)  ランチョンセミナー LS02
3月26日(日)12:30~13:30 共催:生命科学連携推進協議会

LS02 「あなたの科研費研究を最先端の技術で支援します」
生命科学 4 プラットフォームによる最先端技術支援説明会
武川 睦寛1,黒川 顕2,醍醐 弥太郎1,3,鍋倉 淳一4,清宮 啓之5(1東大医科研,2遺伝研,3滋賀医大,4生理研,5がん研化療セ) 座長:武川 睦寛(東大医科学研)

先進ゲノム支援は、以下の学会にてブース出展致します。
支援内容や支援申請方法などに関してご案内させて頂きます。ぜひお立ち寄りください。

・3/8-10 第17回ゲノム微生物学会 かずさアカデミアホール https://sgmj.nig.ac.jp/
・3/14-16 第100回 日本生理学会 国立京都国際会館 https://www2.aeplan.co.jp/psj2023/
・3/16-18 第96回 日本細菌学会 アクリエひめじ https://www2.aeplan.co.jp/jsb2023/

支援による成果を含む論文として支援依頼者から報告があった論文を「成果論文一覧」に追加しました。

支援による成果論文一覧

支援による成果を含むとして支援依頼者から報告があった論文のうち、2022年4月以降にリリースされたプレスリリース情報を「プレスリリース一覧」に追加しました。

プレスリリース一覧

がんは宿主個体の肝臓にさまざまな悪影響を及ぼします。しかし、その全貌は未だ明らかではありません。特に、肝臓の空間的遺伝子発現パターン-肝臓には、栄養や酸素の勾配に応じて空間的に遺伝子発現を変化させるしくみが存在します-にどのような影響が生じるかは不明でした。京都大学医生物学研究所Alexis Vandenbon 准教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科 鈴木穣教授、東北大学加齢医学研究所 河岡慎平准教授 (兼務:京都大学医生物学研究所) の研究チームは、京都大学医学部附属病院、岐阜大学大学院医学系研究科、熊本大学大学院生命科学研究部と共同で、1細胞トランスクリプトームと空間トランスクリプトームという二つの手法を組み合わせることで、がんが宿主個体の肝臓の空間的遺伝子発現パターンを撹乱することを発見しました。がんによる肝臓への悪影響の新たな側面を明らかにする研究であり、悪影響を適切に制御するための重要な基盤となることが期待されます。本研究成果は 2023年1月24日に英国の学術誌である Communications Biology電子版に掲載されました。

プレスリリース: https://www.gifu-u.ac.jp/about/publication/press/20230131_1.pdf

Alexis Vandenbon, Rin Mizuno, Riyo Konishi, Masaya Onishi, Kyoko Masuda, Yuka Kobayashi, Hiroshi Kawamoto, Ayako Suzuki, Chenfeng He, Yuki Nakamura, Kosuke Kawaguchi, Masakazu Toi, Masahito Shimizu, Yasuhito Tanaka, Yutaka Suzuki, Shinpei Kawaoka, Murine breast cancers disorganize the liver transcriptome in a zonated manner, Communications Biology (2023) DOI:10.1038/s42003-023-04479-w
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今回、かずさDNA研究所 白澤 健太主任研究員、近畿大学 細川 宗孝教授、京都大学 安井 康夫助教、国立遺伝学研究所 豊田 敦特任教授らの研究グループは、「鷹の爪」の全ゲノムを解読し、12本の染色体のDNA配列(合計30億塩基対)を高精度に決定しました。そして、「鷹の爪」以外の14系統のトウガラシのゲノム情報と比較して、染色体構造の違いや塩基配列の違いを多数明らかにしました。これらの情報から、「鷹の爪」が日本で広がった経緯が明らかになるかもしれません。さらに、「鷹の爪」がもつ強い抗ウイルス活性の利用や、多様なトウガラシを生み出すための品種改良が進むと期待されます。
本研究成果は国際学術雑誌 DNA Research において、2022年12月25日(日)にオンライン公開されました。

プレスリリース: https://www.nig.ac.jp/nig/images/research_highlights/PR20221225.pdf

Kenta Shirasawa, Munetaka Hosokawa, Yasuo Yasui, Atsushi Toyoda, and Sachiko Isobe, Chromosome-scale genome assembly of a Japanese chili pepper landrace, Capsicum annuum ‘Takanotsume’ DNA Research (2022) DOI:10.1093/dnares/dsac052
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このアカウントでは、公募情報、講習会情報、ホームページの更新情報などをお知らせしていく予定です。
最新情報のフォローにぜひご活用ください。 

長浜バイオ大学の大森義裕教授・今鉄男特任助教(現在:ウィーン大学シニアリサーチフェロー)の研究グループは、国立遺伝学研究所(豊田敦特任教授)、データサイエンス共同利用基盤施設(野口英樹特任教授、福多賢太郎研究員)、愛知県水産試験場弥富指導所、ウィーン大学および米国国立衛生研究所(NIH)と共同でフナを原種とするキンギョの眼球の網膜組織から約2万3千個の細胞を分離し、それぞれの細胞に発現する数万個の遺伝子発現など(シングルセルRNA-seq解析とシングルセルATAC-seq解析)を測定することに成功しました。キンギョの網膜において、全遺伝子が同時に倍加する進化上まれな現象である全ゲノム重複によって倍加した遺伝子のうち、306ペアの遺伝子対の発現が進化し新たな発現パターンを獲得したことを明らかにしました。これは全ゲノム重複後の1400万年という比較的短い時間に細胞レベルで遺伝子の発現パターンの進化が起こることを具体的に示した世界初の報告となります。また、全ゲノム重複後に重複した遺伝子対の発現が重複前の片方のゲノムに偏っているという「非対称サブゲノム進化」がシングルセルレベルで進行していることが証明されました。これらの発見は、現在も謎の多い全ゲノム重複という現象の全体像の解明に向けた重要な一歩となります。
本研究成果は、2022年12月26日(月)19:00(日本時間)に国際科学誌「Communications Biology」(オンライン)に掲載されました。

プレスリリース: https://www.nig.ac.jp/nig/ja/2022/12/research-highlights_ja/pr20221226.html

Tetsuo Kon, Kentaro Fukuta, Zelin Chen, Koto Kon-Nanjo, Kota Suzuki, Masakazu Ishikawa, Hikari Tanaka, Shawn M. Burgess, Hideki Noguchi, Atsushi Toyoda, Yoshihiro Omori, Single-cell transcriptomics of the goldfish retina reveals genetic divergence in the asymmetrically evolved subgenomes after allotetraploidization, Communications Biology (2022) 5, 1404 DOI:10.1038/s42003-022-04351-3
プレスリリース一覧

2022年度支援技術コンサルテーションにお申し込みの方へ、12月26日までに回答をメール送信いたしております。
未着の場合は、至急事務局までお問い合わせ下さい。
(迷惑メールボックス内もご確認頂けますようお願い致します。)

先進ゲノム支援事務局

日本女子大学 化学生命科学科 関本弘之教授、情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 豊田敦特任教授,藤山秋佐夫特命教授、および金沢大学 疾患モデル総合研究センター研究基盤支援施設 西山智明助教らの共同研究チームは、接合藻類のヒメミカヅキモの雌雄にあたる 2 種の接合型のゲノムを解読して比較することにより、ヒメミカヅキモの接合型を決定する遺伝子を特定しました。
さらに、本グループが確立したヒメミカヅキモのゲノム編集技術を用いて、この遺伝子が接合型を決定する遺伝子の本体であることを示しました。
この遺伝子は、陸上植物の有性生殖に重要な遺伝子から接合型決定遺伝子に進化したと考えられます。また、ヒメミカヅキモは陸上植物と最も近縁な藻類の一つであり、本研究は、陸上植物が祖先的な藻類からどのように進化して陸上に適応したのか、その謎の解明への貢献が期待されます。
本研究の成果は、英国の科学雑誌「New Phytologist」のオンライン版に12月19日に掲載されました。

プレスリリース: https://www.jwu.ac.jp/unv/news/2022/h8ccod00000019wj-att/20221220_news.pdf

Hiroyuki Sekimoto, Ayumi Komiya, Natsumi Tsuyuki, Junko Kawai, Naho Kanda, Ryo Ootsuki, Yutaka Suzuki, Atsushi Toyoda, AsaoFujiyama, Masahiro Kasahara, Jun Abe, Yuki Tsuchikane, Tomoaki Nishiyama, A divergent RWP-RK transcription factor determines mating type in heterothallic Closterium, New Phytologist (2022) DOI: 10.1111/nph.18662
プレスリリース一覧

2022年度 PAGS・DDBJ合同中級者情報解析講習会にお申し込みの方へ、12月8日にメールにて情報講習会の事前準備資料および接続情報等に関するメールを送信いたしました。
未着の場合は、至急講習会事務局までお問い合わせ下さい。
(迷惑メールボックス内もご確認頂けますようお願い致します。)

先進ゲノム支援事務局

北海道大学大学院理学研究院の黒岩麻里教授らの研究グループは、Y染色体とSry遺伝子をもたないアマミトゲネズミ(Tokudaia osimensis)という哺乳類種を対象に、世界で初めてSry遺伝子なしにオスが決定される仕組みを解明しました。また、アマミトゲネズミでは常染色体が新しい性染色体へと進化していることが明らかになりました。本研究成果は、日本時間2022年11月29日公開のThe Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS, 米国科学アカデミー紀要) 誌に掲載されました。

プレスリリース: https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/221129_pr.pdf

Miho Terao, Yuya Ogawa, Shuji Takada, Rei Kajitani, Miki Okuno, Yuta Mochimaru, Kentaro Matsuoka, Takehiko Itoh, Atsushi Toyoda, Tomohiro Kono, Takamichi Jogahara, Shusei Mizushima, and Asato Kuroiwa, Turnover of mammal sex chromosomes in the Sry-deficient Amami spiny rat is due to male-specific upregulation of Sox9. PNAS (2022) 119, e2211574119 DOI:10.1073/pnas.2211574119
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名古屋大学大学院医学系研究科システム生物学分野の小嶋泰弘 特任講師、島村徹平 教授、分子細胞免疫学の西川博嘉 教授と、三重大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学の永春圭規 博士課程学生(現市立四日市病院)、三重大学医学部附属病院輸血・細胞治療部の大石晃嗣 病院教授(部長)らの研究グループは、小嶋特任講師が開発した深層生成モデルとスプライシング数理モデルの融合により、単細胞レベルの RNA 遺伝子発現の網羅的解析(scRNA-seq)から細胞分化の方向性の“ゆらぎ”を定量的に解析する手法と、大石教授らが開発した包括的リンパ球培養法を用いて、抗体産生に関わるヒト B リンパ球と I 型インターフェロンを分泌する形質細胞様樹状細胞(pDC)が共通の前駆細胞由来であること、この細胞分岐点で細胞分化の方向性が大きくゆらぐこと、接着分子である LFA-1 が pDC 方向への分化(のゆらぎ)に関連すること等を発見しました。さらにゆらぎのメカニズムを解明するため、新学術領域研究「先進ゲノム支援」により、B/pDC前駆細胞領域のオープンクロマチン領域を解析し(ATAC-seq)、B、pDC分化に関連する転写因子のaccessibilityが両方とも高いことを明らかにしました。
本研究成果は、2022年8月30日に、国際学術誌「Cell Reports」にオンライン掲載されました。

プレスリリース:
https://www.mie-u.ac.jp/R-navi/release/cat680/post-61.html
https://www.mie-u.ac.jp/R-navi/release/files/bb594cc8f32742b025f469655d673941.pdf

Keiki Nagaharu, Yasuhiro Kojima, Haruka Hirose, Kodai Minoura, Kunihiko Hinohara, Hirohito Minami, Yuki Kageyama, Yuka Sugimoto, Masahiro Masuya, Shigeru Nii, Masahide Seki, Yutaka Suzuki, Isao Tawara, Teppei Shimamura, Naoyuki Katayama, Hiroyoshi Nishikawa, Kohshi Ohishi, A bifurcation concept for B-lymphoid/plasmacytoid dendritic cells with largely fluctuating transcriptome dynamics. Cell Reports (2022) DOI: https://doi.org/10.1016/j.celrep.2022.111260
プレスリリース一覧

先進ゲノム支援は、日本人類遺伝学会にてブース出展致します。
支援内容や支援申請方法などに関してご案内させて頂きます。ぜひお立ち寄りください。

日本人類遺伝学会第67回大会
会期:2022年12月15日(木)~17日(土)
会場:パシフィコ横浜 会議センター
大会HP:https://www.congre.co.jp/jshg2022/

今期の支援技術コンサルテーションにつきまして、準備が整いましたのでご案内致します。

対象:2022年度支援公募にご応募いただいた課題ヒアリングを実施した課題は対象外
受付期間:2022年10月31日(月)~11月28日(月)17時まで
申込方法:ホームページ画面右カラムの「支援依頼者ログイン」よりお進み頂き、マイページ内の「申請一覧」コーナーより
お申込みください。対象の方には登録されたアドレスあてに別途メールでご連絡を差し上げておりますので、
詳細はそちらをご確認ください。

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2022年度申請課題についての技術面でのコンサルティングですので、今年度公募に申請頂いていない場合はコンサルティングを受けることはできません。悪しからずご了承ください。
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不採択理由など採否に関するご質問や、申請課題とかけ離れた内容でのご質問はコンサルティングの対応範囲外と致します。

なお、先進ゲノム支援の審査は外部委員からなる審査委員会によるもので、課題ごとの絶対評価に加え全応募課題のなかでの相対評価で行われます。今回のコンサルテーションの結果を踏まえても、次回の採択をお約束するものではありません。
予めご了承いただいた上でご相談頂けますようお願い致します。

先進ゲノム支援事務局

カイダコの殻は冬になると日本海側の各地に打ち上がることが知られており、ビーチでみられる貝殻のなかでも特に珍重されているものです。この貝殻はタコの仲間が作ったものであることが知られています。
島根大学生物資源科学部附属センター海洋生物科学部門(隠岐臨海実験所)の吉田真明 准教授と和歌山工業高等専門学校のスティアマルガ デフィン 准教授らの研究グループは今回カイダコ類の1種であるアオイガイの全ゲノム配列を世界で初めて解読しました。
アオイガイのゲノム中にある 26,433 個の遺伝子の中で、44 個の遺伝子が貝殻形成に使われていることがわかりました。さらに、カイダコが底生生活から浮遊生活に移行する過程で起こったゲノム中の遺伝子の変化を見つけることができました。これにより、進化の過程で貝を失ったはずのタコが、どのようにして再び貝殻を作れるようになったのか?という進化上の大きな謎を解明することに一歩近づきました。
本共同研究は、2022 年10月26日(水)に英文論文誌 Genome Biology and Evolutionにオンライン版が掲載されました。

プレスリリース: https://www.nig.ac.jp/nig/images/research_highlights/PR20221026.pdf

M. Yoshida, K. Hirota, J. Imoto, M. Okuno, H. Tanaka, R. Kajitani, A. Toyoda, T. Itoh, K. Ikeo, T. Sasaki, D. H E Setiamarga, Gene Recruitments and Dismissals in the Argonaut Genome Provide Insights into Pelagic Lifestyle Adaptation and Shell-like Eggcase Reacquisition. Genome Biology and Evolution (2022) DOI: https://doi.org/10.1093/gbe/evac140
プレスリリース一覧

2022年度 PAGS・DDBJ合同初級者情報解析講習会にお申し込みの方へ、10月18日にメールにて情報講習会の詳細プログラムおよび接続情報等に関するメールを送信いたしました。
未着の場合は、至急事務局までお問い合わせ下さい。
(迷惑メールボックス内もご確認頂けますようお願い致します。)

先進ゲノム支援事務局

日本分子生物学会 ブース出展・ランチョンセミナーのご案内(11/30~12/2)

生命科学連携推進協議会および先進ゲノム支援を含む生命科学4プラットフォームは、日本分子生物学会にて「最先端技術支援コーナー」としてブース出展致します。
支援内容や支援申請方法などに関してご案内させて頂きます。ぜひお立ち寄りください。

第45回日本分子生物学会年会 
会期:2022年11月30日(水)~ 12月2日(金)
会場:幕張メッセ
大会HP:https://www2.aeplan.co.jp/mbsj2022/

また、生命科学連携推進協議会では本学会においてランチョンセミナーを開催いたします。
先進ゲノム支援からも登壇し、支援について説明をさせていただく予定です。こちらもぜひご活用ください。
なお、数量には限りがありますことご了承ください。

日本生化学会 ブース出展のご案内(11/9~11)

生命科学連携推進協議会および先進ゲノム支援を含む生命科学4プラットフォームは、日本生化学会にて「最先端技術支援コーナー」としてブース出展致します。
支援内容や支援申請方法などに関してご案内させて頂きます。ぜひお立ち寄りください。

第95回日本生化学会大会
会期:2022年11月9日(水)~11日(金)
会場:名古屋国際会議場
大会HP:https://www2.aeplan.co.jp/jbs2022/

2022年度 PAGS・DDBJ合同初級者情報解析講習会にお申し込みの方へ、9月29日までにメールにて資料等をお送りしております。
お手元に届いていない場合は、至急事務局までお問い合わせ下さい。
(迷惑メールボックス内もご確認頂けますようお願い致します。)

先進ゲノム支援事務局

生命科学連携推進協議会および先進ゲノム支援を含む生命科学4プラットフォームは、日本癌学会にて「最先端技術支援コーナー」としてブース出展致します。
支援内容や支援申請方法などに関してご案内させて頂きます。ぜひお立ち寄りください。

第81回日本癌学会学術総会
会期:2022年9月29日(木)~10月1日(土)
会場:パシフィコ横浜
大会HP:https://site.convention.co.jp/jca2022/

また、生命科学連携推進協議会では本学会においてランチョンセミナーを9月30日(金)に開催いたします。
先進ゲノム支援からも登壇し、支援について説明をさせていただく予定です。こちらもぜひご活用ください。
なお、数量には限りがありますことご了承ください。

農研機構をはじめとする共同研究グループは、タマネギにおいて、染色体全体のDNA多型を効率的に分析する方法の開発を目指しました。まず、タマネギにある8本の染色体について、各々に圴一に配置され、染色体全体をカバーしたDNAマーカーセットを作成しました。次に、次世代シーケンサーを利用し、これらのマーカーセットの全てのDNA多型を一度にまとめて分析する手法を試みました。その結果、染色体全体のDNA多型を効率的に分析することに成功しました。この分析手法で得られた個体間のDNA多型と形質を照らし合わせれば、DNAマーカーセットの中から目的の形質と関連したDNAマーカーを特定でき、選抜マーカーとして利用できるようになります。この技術は、タマネギでの選抜マーカーの開発を飛躍的に進め、育種の効率化および新品種の早期育成に貢献することが期待できます。本研究成果は、2022年8月26日に、国際学術誌「DNA Research」に掲載されました。

Daisuke Sekine, Satoshi Oku, Tsukasa Nunome, Hideki Hirakawa, Mai Tsujimura, Toru Terachi, Atsushi Toyoda, Masayoshi Shigyo, Shusei Sato, Hikaru Tsukazaki, Development of a genome-wide marker design workflow for onions and its application in target amplicon sequencing-based genotyping. DNA Research, Volume 29, Issue 5 (2022) DOI: https://doi.org/10.1093/dnares/dsac020
プレスリリース一覧

最終審査結果につきまして、8月31日までにメールにてお送りしております。
お手元に届いていない場合は、至急事務局までお問い合わせ下さい。
(迷惑メールボックス内もご確認頂けますようお願い致します。)

なお、共同研究者等申請者以外の方からのお問い合わせにはお答えできませんので、
必ず申請者ご本人からお問い合わせ頂けますようお願い致します。

先進ゲノム支援事務局

岡﨑友輔 化学研究所助教、中野伸一 生態学研究センター教授、豊田敦 国立遺伝学研究所特任教授、玉木秀幸 産業技術総合研究所副研究部門長らの共同研究グループは、従来法では捉えられなかった環境中の細菌ゲノムにおけるわずかな変異を塩基多型・構造多型の両側面から網羅的に検出可能なメタゲノム解析法を確立し、琵琶湖に生息する細菌群集の多様性の実態を高解像度で明らかにしました。さらにその結果の解析から、ウイルス感染への抵抗性、および細菌群集の集団サイズがゲノムの多様化をつかさどる主要因であることを示しました。「似て非なる」ゲノムの比較解析から生物多様性の源泉に迫った本研究は、環境中の微生物の多様性を高解像度に捉える研究の必要性を示し、微生物の進化と生態をとりまく理解を知見と手法の両側面から新たな段階へと導く成果といえます。本研究成果は、2022年8月8日に、国際学術誌「mSystems」にオンライン掲載されました。

プレスリリース: https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2022-08-10-0

Yusuke Okazaki, Shin-ichi Nakano, Atsushi Toyoda, Hideyuki Tamaki, Long-Read-Resolved, Ecosystem-Wide Exploration of Nucleotide and Structural Microdiversity of Lake Bacterioplankton Genomes. mSystems (2022) DOI: https://doi.org/10.1128/msystems.00433-22
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基礎生物学研究所 進化発生研究部門の千頭康彦研究員(元・総合研究大学院大学 大学院生)と新美輝幸教授、久留米大学の奥野未来助教、国立遺伝学研究所の豊田敦特任教授、東京工業大学の伊藤武彦教授からなる研究グループは、昆虫進化の初期に出現したシミ類に着目してdoublesexの機能を解析し、その祖先状態を推定しました。その結果、シミ類マダラシミのdoublesexは雌雄で異なるスプライシング調節を受けますが、メスの形態形成への機能をもたないことが明らかになりました。一方、マダラシミのdoublesexは幾つかの遺伝子の発現をメスで促進することが分かりました。これらの結果は、doublesexは昆虫進化の初期段階で既に雌雄で異なるスプライシング調節を受け、メスに特異な幾つかの遺伝子の発現を促進する機能をもち、そして完全変態類出現後にメスの形態形成に対する機能を獲得した可能性が高いことを示唆しています。では、doublesexのどのような変化がメスの形態形成への機能と関連したのでしょうか。本研究では、メスの形態形成に対する機能をもつ種のDoublesexタンパク質に特有なアミノ酸配列を発見しました。この結果から、本研究は、アミノ酸配列の変更によってdoublesexは新機能を獲得したとする仮説を提唱しました。本研究成果は、有翅昆虫類と昆虫類以外の節足動物との間にあった知見のギャップを埋めることに成功し、doublesexの特殊な進化史を新たに推定するものです。本成果は、日本時間2022年7月13日付で「Molecular Biology and Evolution」誌に掲載されました。

プレスリリース: https://www.nig.ac.jp/nig/images/research_highlights/PR20220713.pdf

Yasuhiko Chikami, Miki Okuno, Atsushi Toyoda, Takehiko Itoh, Teruyuki Niimi, Evolutionary history of sexual differentiation mechanism in insects, Molecular Biology and Evolution 39, msac145 (2022) DOI:10.1093/molbev/msac145
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書面審査を通過した課題について、ヒアリングの日時を8月2日にメールにてご連絡しておりますので
出席票の返送をお願い致します。
お手元に届いていない場合は、至急事務局までお問い合わせ下さい。
(迷惑メールボックス内もご確認頂けますようお願い致します。)

なお、共同研究者等申請者以外の方からのお問い合わせにはお答えできませんので、
必ず申請者ご本人からお問い合わせ頂けますようお願い致します。

先進ゲノム支援事務局

書面審査の結果につきまして、7月27日までにメールにてお送りしております。
お手元に届いていない場合は、至急事務局までお問い合わせ下さい。
(迷惑メールボックス内もご確認頂けますようお願い致します。)

なお、共同研究者等 申請者以外の方からのお問い合わせにはお答えできませんので、
必ず「申請者ご本人」からお問い合わせ頂けますようお願い致します。

先進ゲノム支援事務局

公募要項内で8月上旬としておりましたヒアリングの実施期間について、8/5(金)~8(月)の4日間となりました。

採択候補課題(ヒアリング対象課題)となりました先生方には、7月末までにメールにて日程調整のご連絡を致します。
※採択候補課題とならなかった場合も、同時期にメールにてご連絡致します。

直前のご連絡となりますため、ご承知おき頂けますようお願い致します。

なお、ヒアリングについての詳細は、FAQ22をご参照ください。
https://www.genome-sci.jp/faq_public#22

先進ゲノム支援事務局

筑波大学 生存ダイナミクス研究センター島田 裕子助教らの研究グループは、キイロショウジョウバエ Drosophila melanogasterを宿主とする寄生蜂ニホンアソバラコマユバチAsobara japonicaを用いて、寄生蜂の生存戦略を支えている分子生物学的基盤を明らかにすることを目指しており、今回、その全ゲノム配列の決定と全遺伝子予測、さらに、遺伝子ノックダウン法の開発に成功しました。
ニホンアソバラコマユバチは、キイロショウジョウバエのみならず、多くのショウジョウバエ属昆虫を宿主とすることが知られています。その中には、現在ヨーロッパを中心に果物の害虫として深刻な問題となっているオウトウショウジョウバエDrosophila suzukiiも含まれます。本研究成果は、ショウジョウバエの害虫種に対する農薬の開発シーズの創出にもつながると考えられます。本成果はDNA Research誌に2022年6月10日に掲載され、筑波大学よりプレスリリースされました。

プレスリリース: https://www.tsukuba.ac.jp/journal/pdf/p20220614140000.pdf

Takumi Kamiyama, Yuko Shimada-Niwa, Hiroyuki Tanaka, Minami Katayama, Takayoshi Kuwabara, Hitoha Mori, Akari Kunihisa, Takehiko Itoh, Atsushi Toyoda, Ryusuke Niwa, Whole-genome sequencing analysis and protocol for RNA interference of the endoparasitoid wasp Asobara japonica, DNA Res., dsac019 (2022) DOI: 10.1093/dnares/dsac019
プレスリリース一覧

支援課題公募受付は終了しました。

東京大学 大学院農学生命科学研究科 附属水産実験所カビール アハマド氏、家田 梨櫻氏、細谷 将助教らの研究グループは、トラフグをふくむ12種の近縁種を研究材料とし、遺伝的連鎖解析、遺伝的関連解析、全ゲノム配列構築、ゲノム多型解析といったさまざまな手法をつかって、性染色体の置き換わりについて調べました。その結果、3つの近縁種で染色体の置き換えが最近おきたこと、そして、その置き換えがゲノム中を動き回る性決定遺伝子によって引きおこされていたことが明らかとなりました。本研究成果は、2022年6月3日にProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America誌にオンライン掲載されました。

プレスリリース: https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20220603-1.html

Ahammad Kabir, Risa Ieda, Sho Hosoya, Daigaku Fujikawa, Kazufumi Atsumi, Shota Tajima, Aoi Nozawa, Takashi Koyama, Shotaro Hirase, Osamu Nakamura, Mitsutaka Kadota, Osamu Nishimura, Shigehiro Kuraku, Yasukazu Nakamura, Hisato Kobayashi, Atsushi Toyoda, Satoshi Tasumi, Kiyoshi Kikuchi, Repeated translocation of a supergene underlying rapid sex chromosome turnover in Takifugu pufferfish, PNAS 119 (23) e2121469119 (2022) DOI: 10.1073/pnas.2121469119
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横浜市立大学大学院医学研究科 分子生物学の鈴木秀文助教、阿部竜太共同研究員(研究当時:医学部学生)、髙橋秀尚教授の研究グループは、メディエーター複合体のサブユニット MED26 と Little elongation complex (LEC) が、2つの核内凝集体Histone locus body(HLB)と Cajal body を会合させることで、新規の RNA ポリメラーゼ II (Pol II)の一時停止を引き起こし、ヒストン遺伝子の発現を制御することを明らかにしました。本研究成果は、英科学誌 Nature Communications に掲載されました。(日本時間2022年5月25日18時)

プレスリリース:
https://www.yokohama-cu.ac.jp/amedrc/news/d0md7n000000fqov-att/YCUrelease_takahashi_202205.pdf

Hidefumi Suzuki, Ryota Abe, Miho Shimada, Tomonori Hirose, Hiroko Hirose, Keisuke Noguchi, Yoko Ike, Nanami Yasui, Kazuki Furugori, Yuki Yamaguchi, Atsushi Toyoda, Yutaka Suzuki, Tatsuro Yamamoto, Noriko Saitoh, Shigeo Sato, Chieri Tomomori-Sato, Ronald C. Conaway, Joan W. Conaway, Hidehisa Takahashi, The 3′ Pol II pausing at replication-dependent histone genes is regulated by Mediator through Cajal bodies’ association with histone locus bodies, Nature Communications (2022) DOI:10.1038/s41467-022-30632-w
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筑波大学生命環境系下田臨海実験センター谷口 俊介准教授らの研究グループは、ハリサンショウウニの全ゲノム情報を解読するとともに、公的に利用できる遺伝子のデータベース TrBase を作成し公開しました。これにより、ハリサンショウウニが、ゲノム情報の整備されたモデル生物として、より多くの研究者や教育者に利用可能となり、ウニの発生や成長を司る遺伝子機能の解析などの基礎研究のみならず、水産などの応用研究や教育分野での活用などに貢献することが期待されます。本研究成果は、2022 年 5 月 20 日にDevelopment Growth & Differentiation誌に掲載されました。

プレスリリース: https://www.nig.ac.jp/nig/images/research_highlights/PR20220520.pdf

Kinjo S, Kiyomoto M, Suzuki H, Yamamoto T, Ikeo K, Yaguchi S., ITrBase: a genome and transcriptome database of Temnopleurus reevesii, Development Growth & Differentiation (2022) DOI: 10.1111/dgd.12780
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東京大学大学院農学生命科学研究科の中里一星大学院生と有村慎一准教授らのグループは、モデル植物(注1)シロイヌナズナのミトコンドリアゲノム約36万7千塩基対のうち狙った1塩基対のみを、細胞当たり数十から百個ほどあるミトコンドリアゲノムコピーの全てで置換することに成功しました。以前、有村准教授らのグループが開発した植物ミトコンドリアゲノム安定改変法(DNA切断タンパク質を用いてミトコンドリアゲノムの狙った箇所を切る方法)では、狙った箇所を中心に数百から数千塩基対の長さの欠損が生じ、また遺伝子の並び順が変わるなど、ゲノム構造の変化を引き起こしてしまうことが問題になっていました。今回報告する標的一塩基置換法では、このようなゲノム構造の変化は生じず、従来法と比べて精緻なゲノム改変を達成することができました。本研究は、これまで不可能だったミトコンドリアゲノムの人為改変を利用した作物品種改良の基盤技術になることが期待されます。本成果は、2022年5月13日 に米国の国際学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載されました。

プレスリリース: https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20220516-1.html

Issei Nakazato, Miki Okuno, Chang Zhou, Takehiko Itoh, Nobuhiro Tsutsumi, Mizuki Takenaka, and Shin-ichi Arimura, Targeted base editing in the mitochondrial genome of Arabidopsis thaliana, PNAS 119 (20) e2121177119  doi: 10.1073/pnas.2121177119
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京都大学大学院農学研究科 神川龍馬准教授、筑波大学計算科学計算センター 中山卓郎助教、国立科学博物館動物研究部 谷藤吾朗研究主幹、国立遺伝学研究所 中村保一教授らの共同研究グループは、地球全体の光合成の約20%に貢献すると言われる珪藻の中で、光合成を止めた種の全ゲノム解読に成功しました。この種は光合成をしない代わりに環境中に溶存する栄養分を吸収して生育していますが、その詳細なメカニズムはわかっていませんでした。本研究では全ゲノム解読に加え、機能している遺伝子を網羅的に検出するトランスクリプトーム解析や生化学実験などを用いた多角的な研究により、本種が光合成を止めた後も葉緑体での物質生産を維持しつつ、周りの養分を効率よく獲得するための能力を増大させていることが明らかとなりました。本成果は、2022年4月29日 に米国の国際学術誌「Science Advances」にオンライン掲載されました。

プレスリリース: https://www.nig.ac.jp/nig/images/research_highlights/PR20220430.pdf

Ryoma Kamikawa, Takako Mochizuki, Mika Sakamoto, Yasuhiro Tanizawa, Takuro Nakayama, Ryo Onuma, Ugo Cenci, Daniel Moog, Samuel Speak, Krisztina Sarkozi, Andrew Toseland, Cock van Oosterhout, Kaori Oyama, Misako Kato, Keitaro Kume, Motoki Kayama, Tomonori Azuma, Ken-ichiro Ishii, Hideaki Miyashita, Bernard Henrissat, Vincent Lombard, Joe Win, Sophien Kamoun, Yuichiro Kashiyama, Shigeki Mayama, Shin-ya Miyagishima, Goro Tanifuji, Thomas Mock, Yasukazu Nakamura, Genome evolution of a non-parasitic secondary heterotroph, the diatom Nitzschia putrida, Science Advances (2022) 8, eabi5075 DOI:10.1126/sciadv.abi5075
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2022年度「先進ゲノム支援」支援課題公募のお知らせ ゲノム科学においては、DNAシーケンシング技術のみならず、最先端技術を駆使した新たな解析手法が進展しています。ヒトや動物、植物から微生物に至る様々な生物種を対象とするライフサイエンス研究においては、これら技術を活用することが必須になっています。先進ゲノム支援では、最先端のゲノム解析及び情報解析技術を開発・整備し、多様な科研費課題に提供して支援することにより、我が国のゲノム科学ひいては生命科学のピーク作りとすそ野拡大を進めることを使命としています。本公募はそのような支援に相応しい科研費課題を募るものです。
2022年度支援課題の申請受付を9月支援開始のために以下の日程で行います。

公募受付期間:2022年5月17日(火) ~ 6月14日(火) 正午

なお、審査委員会で支援候補に選定された課題に関しては、2022年8月中旬(予定)にヒアリング※を実施します。
※支援実施担当者による候補課題の支援内容の詳細の聞き取りと協議をヒアリングと呼んでいます。詳細はFAQをご参照ください。

以下の公募要項、FAQ、申請のポイント等をよくご確認の上、申請のご準備をお願いします。

※公募web説明会を5月13日(金)に実施致します。 【参加登録締切:5月10日正午】
 公募説明会の詳細についてはこちらからご確認ください。 

倫理関連情報を更新しました。

倫理関連情報

第2期「先進ゲノム支援」が始まります。

「先進ゲノム解析研究推進プラットフォーム(第2期先進ゲノム支援)」は文部科学省科学研究費助成事業の学術変革領域研究『学術研究支援基盤形成』 に2022年から6年間の予定で採択されました。
本事業では第1期「先進ゲノム支援」を一層発展強化させ、最先端のゲノム解析及び情報解析のシステムを整備し、科研費課題から公募により選定された課題の支援等を通じて我が国のゲノム科学ひいては生命科学のピーク作りとすそ野拡大を進めます。

開始に伴い、ホームページをリニューアルしました。