ゲノム支援とは
経緯
「ゲノム支援」は文部科学省科学研究費新学術領域研究(研究領域提案型)『生命科学系3分野支援活動』に採択されたものです。提案課題名は「ゲノム科学の総合的推進に向けた大規模ゲノム情報生産・高度情報解析支援」ですが、以降「ゲノム支援」と略称します。この新たな仕組みは、特定領域研究の終了を受けて、生命科学系3分野(がん、ゲノム、脳)の今後の支援のあり方について科学技術学術審議会の部会で審議が行われ、「従来の3分野に関する特定領域研究における総括班・支援班の果たしてきた役割を何らかの形で継承し、新たに3分野を支援する仕組みを措置すべき」とのまとめに基づいて設計されたものです。
何をめざすのか
次世代型DNAシーケンサに象徴されるゲノム研究の発展は、生命科学に革命ともいえる発展や新たなフロンティアをもたらしつつあります。このためにはウェット・ドライ両面での大規模解析システムの整備が必須です。「ゲノム支援」では従来のゲノム特定領域研究で培ってきた装置、技術、人材を最大限生かして次世代型ゲノム解析システムを整備し、これを活用して適切な課題に対してその研究を支援することにより、生命科学のすそ野拡大とピーク作りの両方を進めたいと考えます。そして、その過程で解析技術をさらに向上させ、人材を育成し、情報・リソースの適切な共有体制も整備し、ゲノム科学自体の発展を促すことが「ゲノム支援」がめざすところです。
何をするのか
総括支援活動のもとに、以下の3つの支援活動を置き、公募等により選定された課題に対してウェット・ドライの支援活動を一体的に進めます。
【大規模ゲノム情報生産及び研究リソース構築支援活動】
次世代型DNAシーケンサを中心としてヒトを含め多様な生物のゲノムDNAの構造、網羅的遺伝子発現プロファイル、エピゲノム調節、メタゲノム解析などのゲノム情報産出を支援します。より高度な支援に向けた技術開発も並行して行います。
【ゲノム医科学支援活動】
ゲノムタイピング・リシーケンシング及びゲノム医学インフォマティクスの支援を行います。ゲノム情報から疾患関連遺伝子を見出すためには、高精度の配列情報を基盤とした多型情報及び臨床情報を統合した高度な情報解析が必要であり、このための技術開発を並行して進めます。また、ヒトゲノム多様性,臨床医学情報を統合したデータベースの構築を進めます。
【情報解析支援活動】
他の支援活動と連携して、ゲノム配列データのアセンブル、マッピング、アノテーション(生物学的医学的意味付け)などゲノム配列の情報解析の支援を行います。また、疾患関連遺伝子探索の情報解析技術、遺伝統計学などの高度な情報解析の支援にも取り組みます。これに加えて、今後の高度な支援のための先行技術開発を実験系研究者とも連携して進めます。
以上の支援活動に加えて、総括支援活動ではゲノム研究コミュニティの発展のために、研究交流・分野融合の場作り、国際連携の窓口機能、ゲノム研究の推進に重要であるELSI(倫理的、法的、社会的問題)を含む社会との接点活動を進めます。