公募説明会で寄せられた質問およびその回答

支援申請について

Q1.「できるだけ多くの研究課題を採択できるように」という説明でしたが、支援申請は、”ミニマム”かつ”費用対効果”を重視して、科研費研究の発展を計画するべきでしょうか?それとも、得られる成果を最大にするように計画したほうが、このましいでしょうか?
その両方が重要と考えています。得られる成果が最大となるように科研費研究の発展的な計画を立てて頂き、申請書に記載して頂ければと思います。
Q2.一つの科研費から、サポートをお願いしたいような2つの課題(アイディア)が出てきた場合(例えば、Illumina リシークエンスが向いている課題とLong-Read のアセンブルが適切そうな課題)、申請書はどのように書いたら良いでしょうか?(2つに分けた方が良いでしょうか?)
目的が同じであれば申請は1つにまとめて頂ければと思います。支援候補課題となった場合、ヒアリングで支援内容を確定する事になります。
Q3.第1期で採択された支援課題について今期も継続希望ですが応募者・科研費が変更する場合,新規課題という形になるのでしょうか?いずれにせよ経緯は申請書に記載予定です。
基本的にはその都度、新規申請として申請頂く形をとっています。
過去に関連課題で支援を受けられている場合(今回とは応募者や科研費が異なる場合)は、申請書の過去の支援実績欄に関連課題についてもできるだけ記載をお願いします。
Q4.科研費の申請課題で、特許申請を予定している場合、申請は可能でしょうか?
可能です。

支援内容について

Q5.1年に1回しか採集できない生物の、ある特定の時期の解析を希望する際など、サンプルを8月~12月中に準備するのが難しい場合には、本ゲノム支援による支援は厳しいでしょうか?今年度中でもサンプル準備が例えば1月や2月になってしまう可能性がある場合も厳しいでしょうか?
質問頂いたような特別の事情がある場合、申請書にもご事情の記載をお願いします。(サンプリング時期も含め、審査委員に採否のご判断を頂きます。)
Q6.年度内での支援ということですが、支援の範囲内の解析がすべて年度内に完了させる必要があるという理解で正しいでしょうか?例えば、サンプルの提出からシーケンシングまでは年度内に終えたものの、その後の解析が翌年度に超えてしまった、といったケースは許容されますでしょうか?
シーケンシング支援については年度内締めとなりますので、サンプル提出期限を年内としています。
情報解析も基本年度内の支援となりますので、年度内に完了しなかった場合は翌年度に「情報解析のみ」として改めて申請をして頂くのが望ましい形です。ただし、公募要項にも記載の通り、情報班班員による情報解析支援については多大な手間と時間がかかることから共同研究の形で進めて頂くこととしていますので、適宜、担当班員と協議の上方針を決めて頂くこととなります。
Q7.哺乳類(ヒト、マウス以外)におけるde novoのゲノム解読支援を希望しています。近縁種のリファレンスの有無に関しては、どのぐらいの範囲で考えればよいでしょうか? 同属の生物のリファレンスゲノム配列は存在しませんが、科レベルであれば複数種において全ゲノムが公開されています。
一番近い種でわかっている情報をいただきたいと思います。(ゲノムサイズ、ヘテロ接合度、異質倍数性の判断や、アノテーションをつける際に参考となるデータとなります。)
Q8.申請内容が具体性をやや欠く場合。例えば、メチル化解析希望で「バイサルファイト法」とだけ申請書に書いていたが、そちらの審査体制の中でPacBioやNanoporeを併用するほうが効果的、などと判断された場合は、申請書に書いていなかった解析法を追加支援してくれたりしますか?
ヒアリングまで進まれた場合には、より効果的と思われる方法をご提案したことがあります。ただし、必要なDNA量がバイサルファイト法とダイレクトシークエンス法では大きく異なりますので、そのあたりの技術的コンサルテーションを行いました。
Q9.webサイトの公募支援に関するFAQ (Q5) において、「特別研究員 (DC) の方には教育的知見からOJTなども含め申請者本人にできる限り支援内容に直接関与をしていただく方針です。」とありますが、直接関与とは具体的にはどのようなことをするのでしょうか。
特別研究員(DC)における研究は、ご本人が主体となり進める研究であるべきと考えています。しかしヒアリング等でお話を伺ってみますと、ご本人の研究課題であるにもかかわらず、残念ながらご自身の研究への理解が不足しているということが少なからずありました。教育的な見地からも、DCの方ご本人が主体的に研究に関与して頂くことが重要と考えています。OJTも歓迎いたします。ヒアリングでもこの点を確認させて頂きます。
Q10.支援の際の予算上限は設けていないとのことでしたが、過去採択された課題の実際の支援額を教えていただくことは可能でしょうか?
課題によって様々で、一概にお伝えする事ができません。また、年度ごとの採択課題数、採択された課題の内容、に大きく依存しますので、詳細をお伝えする事ができません。
Q11.1期目の支援では、全ゲノム解析やRNA-Seqをショートリードでシーケンスをする場合、それぞれ何サンプル程度支援されていましたか? もちろん必要な数は研究によるかと思いますが、今年度使える研究費との兼ね合いもあるため、採択された場合にはどの程度の検体数までシーケンスいただけるか、目安として知っておきたいです。
ご指摘の通り、課題によって全く異なるので何とも言えません。近縁系統をもちいた類似研究におけるサンプル数が参考になると思いますが、目的や生物種によって変わりますので、やはり何とも言えません。
まずは希望される(妥当と思われる)検体数で申請をしてください。採択候補課題となった場合、詳細はヒアリングで協議することとなります。

支援技術について

Q12.scGEX-ATACに興味がありますが、支援可能な検体数としては、どのぐらいが妥当でしょうか?
課題によって様々で、一概にお伝えする事ができません。まずは希望される(妥当と思われる)検体数で申請をしてください。採択候補課題となった場合、詳細はヒアリングで協議することとなります。
Q13.HiFiリードでは,長いポリ塩基構造や単純リピートが含まれる配列についても連続して読むことは可能ですか/どの程度対応できるのですか?
HiFiリードの件ですが、以下の論文に評価の記載があります。
10.1038/s41587-019-0217-9
概要は、CCSの平均精度は99.8%で、エラー(0.2%)のうち、92.0%がホモポリマーに関連するインデルエラーで、ホモポリマーについては477bpに1か所エラーが生じるようです。残りは、ミスマッチが3.4%、ホモポリマー以外のインデルエラーが4.6%です。また、10.1038/s41467-019-13228-9も参考になるかもしれません。ホモポリマー以外の単純リピートについては、HiFiリードのQVに幅があるため、基本的にはケースバイケースです。
Q14.HiFiで解析するためのゲノムDNAのサイズセレクションは、先進ゲノムで支援していただけるのでしょうか?
可能です。
Q15.Iso-seqをSingle cellレベルで行うことは現段階では、可能でしょうか。
(まもなくナノポアからプロトコールが発表されるという話もありますが)まだ確立しているプロトコールはありませんので、技術開発をご一緒にトライしていただく、という形になりますが、リスクを見込んでの応募は可能です。
Q16.支援技術にはリストされていないが、その延長上にある技術の支援について応募は可能でしょうか。具体的にはヒストンマークを用いるHiChIPです。
HiChIPは実施したことがありませんが、チャレンジすることは可能です。
Q17.非モデル生物でのscRNA-seqについてはご支援いただく可能でしょうか?
可能です。ただし高度な情報解析が必要になります。
非モデル生物の場合は参照ゲノム配列の質や遺伝子アノテーション情報の信頼性などが生物によって大きく異なり、解析が比較的容易な生物から解析が困難な生物までケースバイケースです。
Q18.新規ゲノム解析について、すでにscaffoldレベルでアッセンブリーされたゲノム配列が公開されいる種について、HiFiシーケンス等を利用し、chromosomeレベルでアッセンブリーされたリファレンスゲノム配列を得るための支援は申請可能でしょうか?対象のゲノムサイズは1.5Gbです。
技術的に可能は可能ですが、1から決定した方が結果としてよいものができると思います。
Q19.シングルセルRNA-Seqですが、固定サンプルには対応していませんでしょうか?輸送時の細胞状態変化が懸念されるので、研究室で細胞のdissociation→固定して、拠点に送る形で対応いただくことは出来るかという質問です。最近、10xgenomicsからキットが出たかと思いますが、対応されているでしょうか?
近日中に対応が可能となる予定ですので、申請は可能です。ただ新鮮検体とは計測手法が別物、と思った方がいいかもしれません。
Q20.ロングリードに用いるゲノムDNAの調整手法に関して、Short Read Eliminator (SER XL:40kb)処理を行ったほうがよいか。
処理を行えるのであればやったほうがよいと思いますが、収量が減りますので、入手可能な元サンプル量によるかと思います。
Q21.Visium HDでの解析を希望した申請は可能ですか?
来年度以降になります。
Q22.真核生物における,polyA選択法ではなくrRNA除去法でのロングリードRNA-seqは,技術的にどの程度現実的ですか?
(RNAの質と量によりますが)可能、です。

その他

Q23.鈴木先生がご紹介された初等シングルセルデータ解析の演習ウェビナーへの参加をしたいのですが、こちらのお知らせはどちらに記載されておりますか?先進ゲノム支援のHPには記載されていないようでした。
まもなくイルミナと羊土社のHPから告知されます。確定しました場合は、先進ゲノム支援でも宣伝しますので、詳細をお待ちください。

以下のページをご参照ください。(2022.5.23追記)
https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/webinar/20220602.html