[先進ゲノム支援成果公開]貝を持つ不思議なタコ、アオイガイの全ゲノム解読に成功~貝殻の起源と進化について新たな知見~

カイダコの殻は冬になると日本海側の各地に打ち上がることが知られており、ビーチでみられる貝殻のなかでも特に珍重されているものです。この貝殻はタコの仲間が作ったものであることが知られています。
島根大学生物資源科学部附属センター海洋生物科学部門(隠岐臨海実験所)の吉田真明 准教授と和歌山工業高等専門学校のスティアマルガ デフィン 准教授らの研究グループは今回カイダコ類の1種であるアオイガイの全ゲノム配列を世界で初めて解読しました。
アオイガイのゲノム中にある 26,433 個の遺伝子の中で、44 個の遺伝子が貝殻形成に使われていることがわかりました。さらに、カイダコが底生生活から浮遊生活に移行する過程で起こったゲノム中の遺伝子の変化を見つけることができました。これにより、進化の過程で貝を失ったはずのタコが、どのようにして再び貝殻を作れるようになったのか?という進化上の大きな謎を解明することに一歩近づきました。
本共同研究は、2022 年10月26日(水)に英文論文誌 Genome Biology and Evolutionにオンライン版が掲載されました。

プレスリリース: https://www.nig.ac.jp/nig/images/research_highlights/PR20221026.pdf

M. Yoshida, K. Hirota, J. Imoto, M. Okuno, H. Tanaka, R. Kajitani, A. Toyoda, T. Itoh, K. Ikeo, T. Sasaki, D. H E Setiamarga, Gene Recruitments and Dismissals in the Argonaut Genome Provide Insights into Pelagic Lifestyle Adaptation and Shell-like Eggcase Reacquisition. Genome Biology and Evolution (2022) DOI: https://doi.org/10.1093/gbe/evac140
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