[先進ゲノム支援成果公開]脳動静脈奇形の発症プロセスを再現− 異常な脳⾎管構造の形成機序解明と治療法の確⽴へ –

 新潟⼤学脳研究所脳神経外科学分野の齋藤祥⼆医師(⼤学院⽣)、脳神経疾患先端治療研究部⾨の棗⽥学特任准教授、システム脳病態学分野の中村由⾹特任助⼿、⽥井中⼀貴教授、上野将紀教授らの研究グループは、慶應義塾⼤学、ハンブルク・エッペンドルフ⼤学医療センターとの共同研究により、脳動静脈奇形を発症するモデルマウスを開発し、異常な⾎管構造が作られる病態の形成機序とそれを抑⽌する⽅法論を明らかにしました。
 本研究で開発した脳動静脈奇形のモデルマウスは、出⽣後にはじまる病態形成のプロセスを、⾎管構造、細胞種、遺伝⼦発現のレベルではじめて明らかにし、CRISPR/CasRx による治療戦略の有⽤性をはじめて⽰しました。このモデルは、新⽣児期からはじまる異常⾎管の形成プロセスを模倣するはじめての実験モデルであり、本疾患の研究に有⽤なプラットフォームを提供するものです。今後、脳動静脈奇形のさらなる形成機序の解明や治療法の開発に寄与することが期待されます。
 本研究成果は、2024年11⽉22⽇午後12時(⽶国東部時間)、科学誌「JCI Insight」に掲載される予定です。

プレスリリース: https://www.bri.niigata-u.ac.jp/research/result/20241122pressrelease.pdf

Shoji Saito, Yuka Nakamura, Satoshi Miyashita, Tokiharu Sato, Kana Hoshina, Masayasu Okada, Hitoshi Hasegawa, Makoto Oishi, Yukihiko Fujii, Jakob Körbelin, Yoshiaki Kubota, Kazuki Tainaka, Manabu Natsumeda, Masaki Ueno, CRISPR/CasRx suppresses KRAS-induced brain arteriovenous malformation developed in postnatal brain endothelial cells in mice, Volume 9, Issue 22 (2024) DOI: 10.1172/jci.insight.179729
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