[先進ゲノム支援成果公開]メスになるためには共生者が必要 ―宿主のメス決定遺伝子が喪失し、共生細菌が肩代わりしている分子的証拠を発見―
共生細菌であるボルバキアは、宿主の性決定や生殖のシステムを操作することで次世代への感染拡大を図っています。チョウやガの仲間(チョウ目昆虫)では、ボルバキアの共生によってオスのみが致死する「オス殺し」現象が知られています。東京大学大学院農学生命科学研究科の勝間進教授らのグループは、これまでにチョウ目昆虫の一種であるアワノメイガにおいてオス殺しを誘導するボルバキアタンパク質Oscar(オス狩る)を同定し、オス殺しの仕組みを明らかにしてきました。本研究では、アワノメイガの性決定最上位因子OfFemを同定し、オス殺しを行うボルバキアが感染しているアワノメイガにおいてはOfFemがゲノム上から喪失していること、その結果としてボルバキアを除去するとメスだけが致死する「メス殺し」が起きることがわかりました。本研究成果は、長い共生関係の結果、性決定最上位遺伝子が共生者によって完全に肩代わりされている分子的証拠を発見したものです。
本成果は、2026年1月8日にNature Communications誌に掲載されました。
プレスリリース:https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20260108-1.html
Takahiro Fukui, Tomohiro Muro, Noriko Matsuda-Imai, Tatsunori Kaneda, Hidetaka Kosako, Hideaki Hiraki, Keisuke Shoji, Takeshi Fujii, Yutaka Suzuki, Atsushi Toyoda, Takehiko Itoh, Takashi Kiuchi, Susumu Katsuma. Complete transition from chromosomal to cytoplasmic sex determination during prolonged Wolbachia symbiosis. Nature Communications 17, (2026). DOI:10.1038/s41467-025-67993-x
