[先進ゲノム支援成果公開]胎児期の細胞分化異常が自閉症様行動を引き起こすことを解明-自閉症の発症メカニズム解明と新たな治療戦略の開発に期待-

金沢大学新学術創成研究機構/医薬保健研究域医学系の西山 正章 教授らの研究グループは、自閉スペクトラム症(以下、自閉症)の原因遺伝子である CHD8の変異が胎児期の腹側前駆細胞の分化異常を引き起こし、それが成体における自閉症様行動の原因となることをマウスモデルで初めて示しました。
本研究グループは、CHD8 遺伝子の変異を特定の時期や細胞に限定して誘導できるモデルマウスを用いて、どのような条件で自閉症様行動が起こるかを観察しました。その結果、マウスの胎生中期に CHD8 遺伝子の変異が起きている場合、社会的行動の変化や不安様行動といった自閉症様行動が生じることを見いだしました。さらに詳細な解析により、CHD8 遺伝子の変異によって胎生中期の脳の腹側神経前駆細胞が通常より早く分化することが明らかになりました。この腹側前駆細胞は、抑制性ニューロンやオリゴデンドロサイトの起源となる細胞であり、その分化異常は成体脳における神経回路ネットワークの異常につながることが分かりました。
さらに詳しい解析から、CHD8 の発現低下を胎生中期に回復させることで、マウスの自閉症様行動が改善することを明らかにしました。本研究成果は、自閉症発症に関わる臨界期および責任細胞種を明らかにし、また発達段階における治療介入の可能性が示唆されました。本研究により、脳発達期における自閉症発症メカニズムの解明や治療法開発へとつながることが期待されます。
本研究成果は、2026年5月27日午後6時(日本時間)に英国科学雑誌『Nature Communications』のオンライン版に掲載される予定です。

プレスリリース:https://www.kanazawa-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2026/05/20260528_nishiyama.pdf

Kenta Nitahara, Atsuki Kawamura, Ayumu Tashiro, Tomoya Iwasaki, Shin-Ichi Horike, Jumpei Terakawa, Takiko Daikoku, Koichi Higashi, Ken Kurokawa, Kiyoko Kato, Masaaki Nishiyama, Defective ventral neurogenesis due to midfetal Chd8 mutation drives autistic-like behavior in mice, Nature Communications (2026) DOI:10.1038/s41467-026-73416-2
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