[先進ゲノム支援成果公開]ユークロマチンは凝縮した塊をつくり、コヒーシンは塊が“混ざる”のを防ぐ
このたび、情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所の島添將誠 大学院生(総合研究大学院大学、日本学術振興会特別研究員DC1)、飯田史織 特任研究員(現 独マックス・プランク分子生物医学研究所)、南克彦 特任研究員(現 米ハーバード大学)、東光一 助教 (現 バイオ生成AI研究開発センター准教授)、黒川顕 教授、前島一博 教授らは、九州大学の落合博 教授らを含む国際共同研究チームと共同で、ヒト生細胞内のユークロマチンをナノメートルスケールで解析しました。
研究チームは、ユークロマチンに多いヒストンの一種H3.3を標識し、1個1個のヌクレオソームの動きを追跡する1分子ヌクレオソームイメージングと、超解像蛍光顕微鏡法を組み合わせました。これにより、ユークロマチンの構造と物理的性質を、生きた細胞の中で詳しく調べることができました。その結果、ユークロマチンは単に開いた構造ではなく、数百ナノメートルほどの大きさで、凝縮しながらもやわらかく流動性をもつ塊(クロマチンドメイン)を形成していることが分かりました。さらに、DNAをループ状に束ねるコヒーシンを急速に分解すると、ドメインは凝縮したままである一方、ドメインの流動性が増し、近接するドメイン同士が混ざりやすくなりました。また、近接した遺伝子同士の転写が同時に起こる頻度も増加しました。
これらの結果から、コヒーシンは凝縮したユークロマチンドメイン同士が「混ざる」のを防ぎ、近くにある遺伝子がそれぞれ適切に転写されるようにしていると考えられます。本研究は、クロマチンは単に「開いているか、閉じているか」だけで理解できるものではなく、活発にはたらくクロマチンも凝縮したドメインとして存在し、適度に分かれていることがゲノム機能に重要であることを示しました。
本研究成果は、国際科学雑誌「Nature Genetics」に9月8日(日本時間18:00)に掲載されます。
プレスリリース:https://www.nig.ac.jp/highlights/14978/
