[先進ゲノム支援成果公開]独自の遺伝子解析技術と培養法により血液細胞の新たな分化経路と分化様式を発見

名古屋大学大学院医学系研究科システム生物学分野の小嶋泰弘 特任講師、島村徹平 教授、分子細胞免疫学の西川博嘉 教授と、三重大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学の永春圭規 博士課程学生(現市立四日市病院)、三重大学医学部附属病院輸血・細胞治療部の大石晃嗣 病院教授(部長)らの研究グループは、小嶋特任講師が開発した深層生成モデルとスプライシング数理モデルの融合により、単細胞レベルの RNA 遺伝子発現の網羅的解析(scRNA-seq)から細胞分化の方向性の“ゆらぎ”を定量的に解析する手法と、大石教授らが開発した包括的リンパ球培養法を用いて、抗体産生に関わるヒト B リンパ球と I 型インターフェロンを分泌する形質細胞様樹状細胞(pDC)が共通の前駆細胞由来であること、この細胞分岐点で細胞分化の方向性が大きくゆらぐこと、接着分子である LFA-1 が pDC 方向への分化(のゆらぎ)に関連すること等を発見しました。さらにゆらぎのメカニズムを解明するため、新学術領域研究「先進ゲノム支援」により、B/pDC前駆細胞領域のオープンクロマチン領域を解析し(ATAC-seq)、B、pDC分化に関連する転写因子のaccessibilityが両方とも高いことを明らかにしました。
本研究成果は、2022年8月30日に、国際学術誌「Cell Reports」にオンライン掲載されました。

プレスリリース:
https://www.mie-u.ac.jp/R-navi/release/cat680/post-61.html
https://www.mie-u.ac.jp/R-navi/release/files/bb594cc8f32742b025f469655d673941.pdf

Keiki Nagaharu, Yasuhiro Kojima, Haruka Hirose, Kodai Minoura, Kunihiko Hinohara, Hirohito Minami, Yuki Kageyama, Yuka Sugimoto, Masahiro Masuya, Shigeru Nii, Masahide Seki, Yutaka Suzuki, Isao Tawara, Teppei Shimamura, Naoyuki Katayama, Hiroyoshi Nishikawa, Kohshi Ohishi, A bifurcation concept for B-lymphoid/plasmacytoid dendritic cells with largely fluctuating transcriptome dynamics. Cell Reports (2022) DOI: https://doi.org/10.1016/j.celrep.2022.111260
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