[班員による高度化論文公開]難治性血液がんに対する新しいエピゲノム治療の有効性と作用機序を解明―次世代技術と臨床研究の融合により日本発創薬のメカニズムを解明!―

東京大学大学院新領域創成科学研究科の山岸誠准教授、鈴木穣教授、内丸薫教授らによる研究グループは、エピゲノム異常に対する新しい阻害薬が多くのがん抑制遺伝子の発現を回復させ、治療の難しい血液がん患者に対して持続的な治療効果を示す分子メカニズムの解明に成功しました。
研究チームは、日本発の新薬であるメチル化ヒストン阻害薬バレメトスタットの治療を受けた成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)患者の体内でどのような変化が起こるかを、遺伝子発現とエピゲノムを同時に解析できる高精度の解析技術を組み合わせて詳細に検討しました。抑制されていた多くのがん抑制遺伝子の発現は治療開始後から徐々に正常化し、DNAに変異が多数蓄積した高悪性度のがん細胞の増殖を長期間抑制することを初めて観測しました。また長期治療後に発生しやすい薬剤耐性化のメカニズムも明らかにしました。
本成果は、日本発の創薬の成功を示しただけでなく、エピゲノム異常の修復が難治がんに有効である根拠とともに将来の課題に対する解決の糸口を示した点において、社会的意義が非常に大きいといえます。今後、同様の異常を持つ多くのがんに対する新しい治療法への応用が期待されます。
本成果は、英国科学雑誌『Nature』2024年2月21日版に掲載されました。

プレスリリース: https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/10804.html

Makoto Yamagishi, Yuta Kuze, Seiichiro Kobayashi, Makoto Nakashima, Satoko Morishima, Toyotaka Kawamata, Junya Makiyama, Kako Suzuki, Masahide Seki, Kazumi Abe, Kiyomi Imamura, Eri Watanabe, Kazumi Tsuchiya, Isao Yasumatsu, Gensuke Takayama, Yoshiyuki Hizukuri, Kazumi Ito, Yukihiro Taira, Yasuhito Nannya, Arinobu Tojo, Toshiki Watanabe, Shinji Tsutsumi, Yutaka Suzuki, Kaoru Uchimaru, Mechanisms of action and resistance in histone methylation-targeted therapy, Nature (2024) DOI:10.1038/s41586-024-07103-x
プレスリリース一覧