[班員による成果公開]病気に関わる“ゲノムの迷宮”を解く ――免疫・疾患に関わる遺伝子領域を日本人集団で高精度に解読――

東京大学大学院新領域創成科学研究科の鈴木慶彦特任助教(研究当時)と森下真一教授(研究当時)らによる研究グループは、日本人10人のゲノム配列を極めて高い精度で決定し、免疫・疾患に関わる複雑な遺伝子領域における完全なゲノム配列と遺伝子構造の多様性を明らかにしました。
ヒトゲノムは一人ひとり少しずつ異なります。そこで、複数の人のゲノム配列を合わせてヒトゲノムの「標準配列」を個人差の多様性を表現しながら拡張するパンゲノム研究が近年進んでいます。しかし免疫や病気に関わる遺伝子が多く集まる、似た塩基配列が繰り返し並んだゲノム領域は、従来の技術では読み切ることが困難で大きな課題でした。研究チームは10人の日本人男性由来サンプルから、DNAの塩基配列を長く正確に読む複数の技術を組み合わせ、20個のほぼ完全なハプロタイプごとのゲノム配列を構築しました。その結果、医学・生物学的に重要な30の代表的な遺伝子領域で、完全に隙間なく塩基配列を再構築できた割合を既存研究の46.8%から91.2%へ高めました。それによって免疫や疾患に関わる重要な遺伝子領域で新規のゲノム構造を発見しました。本成果は、日本人集団のゲノム多様性のより正確な理解に役立ち、将来の疾患研究や個別化医療の基盤を強めることが期待されます。
本研究の成果は、2026年5月27日に英国科学雑誌『Nature Communications』に掲載されました。

プレスリリース:https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/0029983.html

Yoshihiko Suzuki, Chie Owa, Haruka Kobayashi, Ryo Nakabayashi, Brandy McNulty, Ivo Violich, Benedict Paten, Karen H. Miga, Shinichi Morishita. Accessing medically relevant complex regions with a pangenome graph of 20 near-complete Japanese haplotypes. Nature Communications 17, (2026). DOI:10.1038/s41467-026-73461-x
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