[先進ゲノム支援成果公開]日本人大腸がんの主要な原因は “腸内細菌”だった ―若年発症大腸がんでは70%に毒素産生腸内細菌による変異痕跡を発見―
国立がん研究センターの柴 知史研究員らの研究グループは、東京および大阪の大腸がん患者200例を対象に大規模な全ゲノム解析を実施した結果、特殊な大腸菌が産生する毒素「コリバクチン」によってDNAが傷つけられた特徴的な“瘢痕(変異シグネチャー)”を確認し、日本人大腸がんの約半数(44.8%)に、コリバクチンがその発症に関与していることを明らかにしました(図1と2)。さらに、40歳未満で発症した大腸がんでは約70%にコリバクチン関連変異シグネチャーが認められ、若年発症大腸がんとの強い関連が示されました。コリバクチンによるDNA変異はAPCやBRAF、TP53といった大腸がんのドライバー遺伝子にも見られ、大腸がん発生に直接関与していることが示されました。このタイプの大腸がんでは、発がんの最初期に生じるAPC遺伝子異常が10歳未満という幼少期にすでに獲得されている可能性も示されました。
さらに、腸内細菌叢のメタゲノム解析とAI(人工知能)解析により、大腸がんは4つのタイプに分類できることを明らかにしました。コリバクチン関連大腸がんは特定のグループに多く、大腸がんとの関連で知られる Fusobacterium nucleatum (フソバクテリウム ヌクレアタム)が少ないことも判明しました。
本研究成果は、大腸がんが腸内細菌による直接的なDNA変異によって発症することを示す重要な発見であり、将来的にはコリバクチン産生大腸菌の検出や除菌、便検査を用いた発症リスク評価など、新たな大腸がんの予防法や早期発見法の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、英国科学誌「Nature Genetics」に、8月10日(月)18時(日本時間)に公開されました。
プレスリリース:https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00411.html
