[班員による成果公開]海洋細菌SAR11の「unknome」を読み解く――機能未知遺伝子に潜む、海洋での生存と繁栄の手がかり――

東京大学大学院新領域創成科学研究科の西野聡大学院生、富永賢人特任研究員、吉澤晋准教授、西村祐貴助教、同大学大気海洋研究所の濱崎恒二教授と、理化学研究所開拓研究所の大前公保研究員、立教大学理学部生命理学科の出口鉄平ポストドクトラルフェローによる研究グループは、海洋に非常に多く存在する細菌系統SAR11の機能未知遺伝子群を体系的に解析し、栄養物質の取り込みやウイルス防御に関わると推定される遺伝子を見いだしました。この結果は、機能未知遺伝子の集合である「unknome(アンノーム)」が、SAR11の海洋での繁栄を理解するための重要な手がかりを含むことを示唆しています。
 本研究では、ゲノム中の遺伝子の並び方に関する情報と、タンパク質の立体構造を予測するAIシステム「AlphaFold」による予測を組み合わせて、SAR11がもつ遺伝子の機能を探りました。これにより、従来の配列類似性検索だけでは機能の手がかりが得られなかった遺伝子群について、その役割を推定しました。本研究で用いたアプローチを他の環境微生物にも適用することで、これまで機能が分かっていなかった遺伝子の機能解明や、将来、研究や産業への利用が期待される新たな遺伝子の発見につながる可能性があります。
 本成果は2026年9月17日に学術雑誌「mSystems」に掲載されました。

プレスリリース:https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/0030566.html

Satoshi Nishino, Kento Tominaga, Kimiho Omae, Teppei Deguchi, Koji Hamasaki, Susumu Yoshizawa, Yuki Nishimura. Functional unknomics of the SAR11 clade reveal hidden genetic potential underlying adaptation to bottom-up and top-down pressures. mSystems (2026). DOI:10.1128/msystems.01026-26
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